大学卒業、帰国。ご愛読ありがとうございました。

グーテンターク。

 

論文提出と学会発表を終え、アウクスブルク応用科学大学工学部を卒業しました。オンラインで行われた学会発表は私にとって非常に大きな壁でしたが、教授らは私の下手なドイツ語を理解してくれたようです。いくつか答えられない質問もありましたが、ぎりぎり合格点をいただき、無事に卒業することができました。日本で就職することになったので、先月帰国しました。

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ドイツでの大学生活は苦難の連続でしたが、サッカーや旅が心の支えでした。苦く辛い経験が数多くありましたが、多くの人の優しさに助けられ、ヨーロッパでの生活は総じて素晴らしい日々でした。

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↑いつも通っていた市場ともお別れ

 

20歳で渡独して以来8年間、ドイツの風土が肌に合っていると常々感じていました。人の大らかさと優しさに触れ、自然豊かなドイツで生活できたことは幸運でした。

 

地ビールともお別れ

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↓長らく働いたホテルともお別れ

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↓ローカル線ともお別れ

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↓湖ともお別れ

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↓チームメイトともお別れ(ユニフォームをもらいました)

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↓ドイツ文房具ともお別れ(チームメイトから絵描きペンをもらいました)

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↓西洋建築ともお別れ

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8年間の充実したドイツ生活を支えて下さった皆様、本当にありがとうございました。ドイツで学んだ多くの経験を生かして、日本でも頑張ろうと思います。

 

一旦この記事をもって「8年目のふすばる」は区切りとさせていただきますが、これまでと同様に、ドイツでのビザ取得や大学入学に関する質問にはいつでもお答えしますので、コメント下さい。いずれドイツにもう一度来るチャンスがあれば、再開したいと思っています。

 

「8年目のふすばる」をご愛読いただき、ありがとうございました。

皆様、お元気で。

 

アウフ ヴィーダーゼーエン。

最後の試験を終えました。

グーテンターク。

 

2月に大学の試験がようやく終わり、半年ぶりに落ち着いた日々を過ごしています。年末から慌ただしい日々が続いていましたが、近ごろは公園でオシャレに新聞を読む余裕も出てきました。未だにサッカーは閉鎖状態で、芝生の上を走っていたあの頃を忘れてしまいそうです。小さな子供を持つ親たちの中には、継続中のブンデスリーガに反対する声も上がっています。億万長者のプロ選手だけがサッカーを許されて6歳の子供はなぜ禁止なのか、というのが親たちの主張です。

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アウクスブルクはアルプスの気候なので、昨日は雪が降っていたのに今日は10度近くもある、といったことが日常茶飯事です。

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今回の試験も昨年7月の試験の時と同じく仮設テントで行われました。まさかもう一度このテントで試験を受けることになるとは思っていませんでしたが、ドイツは3月中旬までロックダウンが継続されることになったので、まだ辛抱が必要になりそうです。幸いにも私が働いているホテルは再開が許可され、無事に仕事に戻ることができました。

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今回の試験は、私が通っている工学部における最後の筆記試験でした。長く苦しい勉強生活がようやく終わり、残すは論文提出と学会発表のみとなりました(これも大変です)。4年前に意気揚々と大学に入学し、最初の半年間はドイツの大学で勉強できることの喜びと共に日々の生活を楽しんでいましたが、進級を重ねるにつれて徐々に授業内容の難易度が増し、次第に私の脳では処理できないハイレベルなものになっていきました。ですが周りの心優しき学生らに大いに助けられ、苦しみながらも卒業に必要な全ての単位を取得できました(成績はぎりぎり)。とにかく楽しい大学生活だった、と胸を張って言いたいところですが、今後ドイツの大学で工学部への入学を志している高校生たちのために、正直な意見を述べたいと思います。この4年間は文字通り勉強の日々でした。幸い私は大分高専を卒業しているため、工学分野における知識は多少なりとも持っていましたが、結果的にそれは微力なアドバンテージにしかなりませんでした。ドイツでは小学4年生の年齢で、すでに大学進学希望者が篩い分けられるため、彼らが大学に入学する頃には、生粋の勉強体質になっています。

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4年前の私のように、少しでも楽をして単位を取ろうと考えている学生は、容易に落第、もしくは退学となってしまいます。私はこれまでに退学の危機を3回迎えました。1回目は2回生の時、本来は入学前に完遂すべきだった2か月間の企業インターンの存在を知らなかったことが要因でした。他の外国人学生(ロシアやマレーシア)らは自国でエージェントを通して様々な情報を得ることができるので、入学前に済ませておくべきプロジェクトをしっかり終わらせてドイツに来ています(そもそも工学部の学生は入学前の時点ですでに様々な高いハードルを乗り越えなければなりません)。私が高専時代に経験したインターンは2週間だったのでもちろん認められませんでした。長期休暇を使ってインターンをしようとドイツ国内を探し回りましたが、6週間限定で雇ってくれる企業は見つかりませんでした。1泊2日でベルリンまで面接に行ったこともあります。手段がなかったので、藁をもすがる思いで以前に私がザールブリュッケンで働いていた工場の社長に直接連絡をし、証明書を送ってもらいました。ですが私が働いていた工場はコーヒー販売の関連で、仕事内容はお金の計算だったため、工学分野でのインターンとしては認められるものではありませんでした。せっかく入学した大学を1年半で辞めさせられるかもしれない状況で、その証明書を持って半分意識のないまま学生事務所へ向かい、当時の仕事内容を、「お金の計算と自販機の修理」と説明しました。汗をかきながら10分ほど必死で説明をし、何とか理系インターンとして認めてもらうことができました。負け試合のはずでしたが、何でも交渉してみるものです。事務の人が私のブログを見つけてこの記事をドイツ語に翻訳しようものなら私は終わりです。日本人にとって意思表示というものは高い壁のように感じるかもしれませんが、海外ではダメもとで交渉してみるというマインドが大事なのかもしれません。

 

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2回目と3回目の退学危機は、シンプルに私の成績によるものでした。ドイツの公立大学では1教科につき3回しか受験できず、3回目の試験を落としてしまうと退学となり、その州内の大学では二度と入学できなくなってしまいます。州から出たくない場合は学部を変えるしかありませんが、学部を変えるとこれまで取得した単位も全て流れてしまいます。

このルールに苦しんでいたのは他のドイツ人学生も同じでした。みんな必死で勉強しますが、試験が難しすぎます。ドイツ人の教授に慈悲を求める事は3年前の春に諦めました。彼らは機械のように難解な試験問題を毎回作り続けます。私は3回目の試験を受ける前に、もし不合格になってしまった時に学生ビザが切れないように、他州の大学にいくつか願書を出しました。外国人にはこういう苦労もあります。

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多くの苦労を乗り越えて、奇跡的に今日を迎えました。思い返すと苦しい時間が長かったように感じますが、一人では絶対にここまで来ることはできませんでした。勉強の難しさを乗り越えるためには、支えてくれる周りの学生とコミュニケーションを取り、まじめに取り組むことが大切です。当たり障りのないアドバイスですが、結局これに尽きます。昔から全く読書はしてこなかったので活字は苦手でしたが、この4年間で図書館のどの棚に何の本があるか分かるようになりました。人間、必要に駆られるとこうなってしまうものです。

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まだ最後の山が残っていますが、諦めずに頑張ろうと思います。

 

欧州で働くためのブルーカード

グーテンターク。

 

 時が経つのは早いもので、前回の投稿からあっという間に2か月が経ってしまいました。ドイツは未だにロックダウンの真っただ中で、夜10時から朝5時までは通勤以外の外出が禁止されています。スーパー以外のお店は全て閉まっているので、街中は閑散としています。ロックダウンは1月10日までの予定ですが、感染者が減らなければさらに延長されることになります。大学の期末試験が1月21日から始まるので、ロックダウンが延長されれば、私の進路にも影響があるかもしれません。ですがコロナ禍で職を失う人たちの苦労を考えれば、この少し不便な生活さえも感謝しなければいけないと感じる日々です。

 

↓ロックダウンのおかげでボードゲームがバカ売れだそうです。

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↓有名ブランド「シュタイフ」のテディベアもたたき売り。定価3500ユーロ(約43万円)が999ユーロ(約12万円)まで値下げされています。シュタイフでは有り得ない値段なので、転売すれば儲かりそうです。転売はいけません。

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↓夜10時前の中心街も閑散としています。

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 私のようにドイツの大学で自然科学や工学分野を専攻している人たちにとって、卒業後に日本とドイツのどちらで就職するかは永遠のテーマと言えます。なぜなら日本もドイツも、共に工業分野において世界をリードしており、両者とも先見性があるからです。私を悩ませている理由の一つが「EUブルーカード」という存在です。「EUブルーカード」は、EU加盟国から発給される滞在許可証です。高度な資格を有する外国人に対し、ビザ発給手続きや在留許可制度においてさまざまな緩和措置が実施されます。グリーンカード(永住権)の一歩手前という感じです。

 

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 2012年から始まったこの措置の恩恵を受けるのは、特に、大学を卒業し、ドイツでの就労を目指す人たちです。これらの人たちは、税込み年収44,800ユーロ以上を保証する具体的な就職の可能性を証明できれば、就労許可を受けやすくなります。数学、情報処理、自然科学、工学分野の高度資格所有者並びに医師については、この最低年収額が35,000ユーロ弱となります。さらに、大学卒業者については、具体的な就職の可能性を提示できなくても、求職活動のためのビザを申請できるようになります。このビザが発給されると、ドイツでの求職活動のために最長6ヶ月まで滞在が認められます。このほかにも、起業家、大学生、職業研修生などを対象とした、さらなる緩和措置があります。

 

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 こうした制度をはじめ、就労に対するドイツのオープンな姿勢と高い生活水準は、中東やアフリカ諸国からの外国人学生にとっては大いに魅力的だといえます。しかし、日本人である私にとって、たとえそれが工学分野で働きたいという漠然とした目標であっても、必ずしもドイツでの就労がベストアンサーではないと考えてしまいます。それは日本の技術力を欧州の視点から客観視した時に感じる日本製品へのリスペクトがあるからだと思います。それくらい日本は素晴らしい国だと日々感じています。日本で暮らしていた頃は、日本という国に窮屈さを感じてしまうことが多少なりともありましたが、それはあくまで先進国であるが故の悩みであり、自国で不自由なく働いて生きていくことが如何に幸せなことか、今となってはひしひしと感じます。

 

↓これはソ連兵コーデで自転車に乗る少年です。かっこいいですね。

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 日本の皆様、良いお年をお迎えください。

2度目のロックダウンが始まりました。

グーテンターク。

 

 アウクスブルクはすっかり寒くなりました。今日から2度目のロックダウンが開始され、都市間の移動はもちろん、劇場やレストランの一時的な閉鎖がすでに始まっています。サッカーも4部リーグ以降は活動禁止となり、ブンデスリーガは無観客で開催されるみたいです。メルケル首相も「極めて深刻」と言明しています。あれだけ余っていた病院のベッドもいよいよ切迫した状況に陥るかもしれません。私は今冬に日本への一時帰国を画策していましたが、今回も厳しそうです。

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 私が勤めているホテルでは平常時はほぼ満室(全部で60部屋ぐらいあります)ですが、ビジネス以外でのホテルの宿泊が禁止された影響で今日はたった3部屋しか埋まりませんでした。オーナー夫婦にはお世話になっているので、とても心苦しいです。

 

 夜の街中では不要不急の外出を規制するために警察が見回っています。私の勤務はいつも22時からなので、出勤中に警察に声をかけられました。先週まで夜中でも賑わっていた中心地ですが、今は閑散としています。

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↑これは22時頃の街の中心地の様子です

 

 

 中心地では屋外でもマスクの着用が義務付けされたので、警察があちこちで取り締まりをしています。マスクを着用していなかった場合は50~450ユーロの罰金です。

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↓何も起きていないのに物騒な日常です。

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 当然といえばそうですが、ガストロの経営者らはロックダウンにおけるレストランの閉鎖命令に反対しています。昨日も街で反対運動をしているところを見ました。誰も悪くない、世知辛い状況です。大きなデモや暴動などは今のところ起きていません。

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 大好きなカフェ通いも当分は我慢しなければ。。。

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 今のところ11月末までは都市閉鎖が続く予定ですが、私の日本への一時期国はまだ先になりそうです。日本食が食べたい。

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 日本の皆様も体調にお気をつけて。

犬の先進国ドイツ

グーテンターク。

 

 ドイツでは来年にも犬の散歩の法制化が始まります。先週、ドイツ食糧・農業省が1日に2回以上、合計1時間以上の犬の散歩を義務付ける法案を発表しました。ドイツでは犬を屋外で散歩させることは既に昔から法律で義務付けられていましたが、今回の発表では散歩の頻度や長さも具体的に規定されるそうです。

↓飼い主が買い物中は店内に連れていくこともできますが、犬用パーキングにつなぐこともできます。私も大好きな犬用パーキング。

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 ドイツでは5世帯に1世帯が犬を飼っており、コロナ禍においてもペットの販売数は増加しています。犬は人間にとってペットではなく大切なパートナーであり、家族の一員であるとドイツ国民は考えています。私も犬が大好きですが(実家でケアンテリアを飼っています)、客観的にドイツ人の犬への愛情は世界一だと思っています。ドイツでは犬の殺処分も禁止されており、獣医学的所見以外の理由で犬や猫を殺処分することはできません。以下がドイツの犬の保護に関する法令の一部です。

・犬種、大きさによってケージのサイズが詳細に定められている

・外気温が21度以上の場合は車内に犬を置き去りにしてはいけない

・犬を一人ぼっちにして長時間留守にしてはいけない

これらは法令のほんの一部ですが、違反した場合は罰則があり、強制的に飼い主から犬たちが没収され、施設で保護されます。ですが、犬を愛するドイツ人、法律違反はほとんどありません。犬は大切な家族なので。

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 ドイツは世界一ペットが幸せな国と言われています。路面電車やバスを使って飼い主と一緒に移動している犬の姿はドイツでは日常です(子供料金が犬料金に割り当てられています)。特にベルリンは犬に優しい街として有名です。ベルリンでは犬税があり、飼い主は犬一頭につき月額11ユーロ(約1200円)を納税しなければいけません。

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↓ちゃんと席に着きます。

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↓多くのレストランやカフェでも犬の同伴が許されています。

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 ドイツのように日本ももっと犬と幸せに共存できる国になってほしいものです。 

仮設テントで試験を受けました。

グーテンターク。

 

ドイツではこれから多くの大学で試験が始まりますが、大学の構内では1.5メートルのソーシャルディスタンスを保ちながら300人以上の学生に試験を受けさせることができないらしく、中庭に仮設テントが建てられました。今の時代、オンラインで何でもできるのに、ドイツ人は規律を守るためならどんな手間も惜しみません。

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テントの設営費用すら、学生に筆記試験を受けさせるためなら何千ユーロでも支払うようです。一応、空調管理はされていましたが、全く集中できませんでした。「蛍雪の功」という言葉がありますが、戦後の人たちはどんな環境でも勉学を惜しまず、空の下で勉強をしていたと思うと、尊敬の念を抱かずにはいられません。昔の人たちは凄いです。

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気温差で風邪をひきました。

生徒から赤ワインを頂きました。

グーテンターク。

 

先週、日本語教室の1クールを終え、2月から私が教えていたドイツ人の生徒たち4人(うち3人は大人です)から最後の授業に赤ワインを頂きました。普段誰かから何かを貰うことはないので、とても嬉しかったです。

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↓教室はこんな感じです。

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↓漢字もやってます。

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九州の方々、大分の皆様もどうかご無事で。